山とバイクと一人旅

脳みそが痺れるような景色が見たい

暖冬の白い白山に登ってきた(2020年1月)

1月の3連休を使って白山へ登ってきました。

 

本文に入る前に、必要はないとは思いますが一応注意書きを。

厳冬期ではありますが今冬は記録的な暖冬で、金沢では積もるどころか雪が舞うこともほとんどなく、県内はおろかお隣の富山県のスキー場すらどこも開けない状況でした。

なのでこの記事だけを参考にこの時期の白山に挑戦しないようにお願いします。

 

目次

 

1日目 風嵐ゲート→別当出合→甚之助避難小屋

 

今回は部活のメンバーではなく別団体の3人と僕の4人での山行となりました。

事前に顔合わせはしてありましたが3人中2人はほぼ初対面だったので少し緊張しました。しかし最年長のSさんがとても気さくな方ですぐに打ち解けることができました。

 

早朝に風嵐の林道ゲートに到着。すでにゲート前にはスキーヤーのものと思われる自動車が何台も停車してありました。

 

僕たちがゲート前で準備している最中に一台車がやってきて3人組の男性が登山の準備を始めたのですが、彼らも僕たちと同様スキーヤーではないようでした。

彼らとは3日間の行動中ずっと抜きつ抜かれつでした。(ラッセルとルーファイ、本当にありがとうございました)

 

さて、暗い中ゲートを越えて長い長い林道(なんと16㎞!!)を歩き始めたわけですがとにかく雪が見当たりません

数日前に大雨が降り、当時の金沢市街地の気温からするにこの辺りでも雨だったのでしょう。結局林道に雪がみられるようになったのは市ノ瀬の手前くらいからでした。

 

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市ノ瀬の手前でようやく路面に積雪

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夜明け前の市ノ瀬

 

市ノ瀬から先も林道の上に雪が無い箇所も多く、先行のスキーヤーが苦労している様子がみられました。

 

それでも雪が少ないなりに別当出合に近づくにつれ積雪量はどんどん増えていき、別当出合ではおよそ1mほどの積雪がみられました。

 

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別当出合

 

問題の吊橋にはほとんど積雪がなく、代わりに鉄骨の一部が凍りついている状態でした。吊橋は荷物を背負っていれば鉄骨から落ちても引っかかりそうなくらいの隙間が空いているくらいなのですが、万が一があるので確保しつつ渡りました。

確保しているとはいえ怖いものは怖いし、めちゃくちゃ長いし、肩は凝るし、何よりこれを帰りも渡らなければならないという事実。

 

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別当出合の吊橋を渡り終えてから

 

何とか渡り終え、次なる要注意スポットの急登に差し掛かります。

雪はうっすら表面をやや締まった雪が付いているだけで少し怖かったですが無事に通過しました。

 

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抜けるような青空の下甚之助避難小屋に向かいます

 

その後中飯場の上まで夏道を辿り、へとへとになりながら歩いて甚之助避難小屋に無事到着。

 

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甚之助避難小屋。1階の入り口から普通に入れるくらいの積雪

 

この日は終始良い天気で楽しかったです。翌日は昼前から天候悪化との予報ですが果たして…

 

2日目 甚之助避難小屋→御前ヶ峰→甚之助避難小屋

 

昼前から荒天との予報のため日の出前から行動を開始することにし、朝食を準備していると甚之助避難小屋にBCスキーヤーの集団が入ってきました。後から知りましたがどうやら有名な某先生の一団だったようです。

 

僕らは空がうっすら明るくなったころに出発しました。

 

ここからは砂防新道から外れ、エコーラインの通っている尾根に取り付くのですが、初っ端から上手くルートをとれず苦戦しました。すぐあとから出発した3人組のおじさん達のとったルートは復路で辿らせてもらいましたがとても無駄がなく歩きやすく圧倒的な経験の差を感じました。

 

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夜明け

 

そのままエコーラインのあたりを歩き、尾根が細くなった辺りで日の出を拝めたのですがすぐにガスが出てきて視界不良に。

 

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エコーライン

視界不良のまま真っ平らな弥陀ヶ原を越え五葉坂に着く必要があるのでもうコンパスだけが頼りです。

しかし幸いにも弥陀ヶ原を歩いている途中でガスが晴れたため、室堂まで問題なく歩くことができました。

 

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五葉坂から弥陀ヶ原を見下ろす

 

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室堂手前から御前ヶ峰方面を望む

 

室堂は完全に凍りついていましたがヤマレコなどの過去の記録と比べてみると積雪量は少ないように思います。

 

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室堂

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室堂奥宮祈禱殿

 

ここからはアイゼンで御前ヶ峰を目指します。

この辺りもルート取りが難しかったです。

雪面はカリッカリに凍り付いており、間違いなくスリップしたが最後絶対に止まらないやつだったのでずいぶん怖かったです。

 

怖い斜面を抜け、冷え切った強風が吹きつける御前ヶ峰に登頂するころには視界はなく、直前に登頂していた3人組のおじさん達と記念撮影をし合いっこした後ですぐ下山開始です。(寒いし景色見えないので…)

 

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山頂の拝殿。寒かった…

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一応御前ヶ峰の山頂。何も見えません

 

先ほど書いたように室堂までの斜面はカリカリに凍り付いており、視界不良。ここの下りが一番緊張する場面でした。

ルートを慎重に見極め、降りていきます。

 

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ヤバい斜面を抜けた後の一枚。流石にヤバいところで撮るのはマジヤバい

 

夏道とは少しズレたやや尾根状になった地形を降りていくと、ガスのむこうに先行していた3人組のおじさん達が止まっているのが見え、すぐ先は傾斜が緩くなっていることがわかりました。

おじさん達はトラブルが発生したらしくここからは僕らが先行しました。

帰りの弥陀ヶ原も視界がありませんでしたがここでI君の見事なナビゲーションのおかがげでエコーラインの稜線への取り付きに立てておいたフラッグの目の前に出ることができました。

 

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視界不良のエコーライン。降り過ぎないように慎重に

 

その後は何事もなく甚之助避難小屋に到着。何度かスリリングなシチュエーションを経たせいか割と疲れたのでこの日の行動はここで終了です。(途中まで降りてからテントを張るのは面倒だしね)

 

3日目 甚之助避難小屋→別当出合→風嵐ゲート

 3人組のおじさん方にやや遅れて出発。しばらくは彼らのトレースに沿って進みました。甚之助避難小屋から中飯場までの尾根は広く、おまけに尾根上に細かい沢やコブが入り組んでおりルーファイは容易ではなかったため、助かりました。

 

おじさん方とは中飯場手前で交替し、吊橋手前の急登をおっかなびっくり下り、吊橋へ。

 

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吊橋手前の急登

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吊橋

 

昨日からの降雪で若干雪が積もった吊橋を渡り、そこから延々と林道を歩きました。

足の裏がめっちゃ痛く、後半はかなり長く感じた林道歩きでした。(サラッと書きましたが本当にしんどかった…

 

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ゲートに到着。ヘトヘトです

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ゲート前で思わず一枚。無事帰ってきたぞ~!!



帰りは白峰総湯に寄って汗を流した後一旦解散後焼き肉で打ち上げ。

 

顔なじみと登山するのも楽しいですが、違う所属の人たちの中に混ざって登るのも新鮮でとても良い刺激になりました。

 

自分が今までで経験した冬山登山の中で最も過酷でリスキーな山行となった今回の登山、自分にとっての課題がたくさん見つかり良い経験となりました。

 

次にここに冬来るときは(いったいここを無事に登って降りてくるだけの技術を身につけるのにどれだけかかるかわかりませんが)たっぷり雪のある時にスキーで来たいです。(ていうか林道歩きキツ過ぎてスキーじゃなきゃもう嫌