レンタカーで冬の北海道を巡った時の話 前編
またしても一人旅である。
別に友人がいないわけではないのです。誘ってもほとんど来てくれないだけで。いかん、雨が降ってきたな。
まあ、確かに日程はやたら長いしかなりお金もかかる予定だったし夏ならまだしも冬の北海道なんて考えるだけ寒いし仕方ないよね。仕方ないよね?
さて、今回の旅は当初何人かで行くつもりだったものが紆余曲折あり1人旅となったのでいつも通りの適当なやり方で行くことにしました。あらかじめ決めて予約しておくのは北海道へ行くための交通手段と金沢に帰るための交通手段、そしてレンタカーのみ。目的は流氷を見ることとジュエリーアイスを見ること。
それではしゅっぱーつ!
目次
金沢から北海道
今回は成田から新千歳に飛行機で行くことにしました。
初日は金沢から新宿行きの昼便のバスに乗り、東京でカプセルホテルに泊まり、適当に飯を食って寝ました。カプセルホテルに泊まるのは初めてでしたが出来損ないのSFみたいな感じがして楽しかったです。
翌日は成田から朝に出る飛行機に乗るため早朝に起き、シャトルバスで成田空港に向かいました。某格安航空機便に乗り込むと中にはぎっしり椅子が並んでいて人がぎゅう詰めになっており、2056年、市民権を剥奪され首都に居場所を失った彼らにもはや選択する権利すら無かった。飛行機の腹に詰めるだけ詰め込まれ、文字通り北へと飛ばされる彼らの目に光はなく口元には諦念すら浮かんでいた…みたいな妄想がとてもよくはかどりました。
座席は窓際で、景色がよく見えました。
離陸直後はちょうど夜明けの頃で、刻一刻と変化する空と雲がとても美しかったです。
新千歳空港に到着するとまずはレンタカー会社に連絡。今回利用したのは北海道レンタカーさん。めちゃくちゃ検索にひっかかりにくそうな名前だなぁ・・・。
ともあれこのレンタカー会社の何がすごいって安すぎて不安になるくらいの料金設定です。24時間で1300㏄クラスが2500円と格安でした。
電話をするとすぐに向かいますとのことだったので指定の場所でドキドキしながら待機しているとそれらしき車がすっと入ってきました。
この車に乗って事務所に向かい手続きするのかな、と思いきや会社の人が乗ってきた車がレンタカーらしい。その場で免許証の写真を撮り、料金を支払い、注意事項を確認して鍵を渡され手続きは完了です。車体の傷の確認などもなく、かといって会社の人の目の前で車の傷の写真とか撮るわけにもいかず、少し不安に思いながらの出発となりました。
新千歳~網走~ウトロ
ひとまず最初の目的である流氷を見るべく網走に向かいます。
網走まで今日中に行けてもかなり遅い時間になりそうだったので宿は予約せず、無理なく行けるとこまで行って手ごろな道の駅で車中泊することにしました。
結局その日は網走まで到達できてしまったので道の駅流氷街道網走で車中泊となりました。もちろん、車中泊中エンジンをかけっぱなしにはしませんのでどれほど冷え込むか気になりましたが幸いこの日の夜はそこまで冷えこまず、快適な夜を過ごせました。
写真はこの日の夕食。ワンパですが寿司です。この時、北海道にいる間は1日1食だけ金を惜しまず好きなものを食べても良いというマイルールを追加しました。
翌日、空が明るくなるころに起き、がりがりに凍り付いた窓の氷を落として出発です。
今日の目的地は知床半島のあたりのつもりだったので時間にはかなり余裕があるので早速寄り道することにしました。
尖っていたり突き出している場所が好きなので網走の北に位置する能取岬へ行ってみることにしました。
素敵な景色が見えてきました!
能取岬に到着です!寒いですが気持ち良いです。
岬の下には流氷がぎゅうぎゅうに打ち寄せており、まるで陸みたいになっていました。
勝手に抱いていた流氷のイメージとは少し違いましたがこれはこれで良いですね。
途中、展望台みたいな施設が見えたので北浜駅に寄りました。駅の横にはホーム外からも登れるようになっている展望台が併設されていました。
釧網本線は特にそうですが、北海道には味のある駅舎がかなり多く残っていて、そういうところも好きです。無人駅でもほとんどの駅にちゃんとした待合室がついているのも良いところです。(STB*1がやりやすいのです)
さてはともあれ、展望台に登ってみます。
す、すげえ・・・
海というより広大な雪原です。流氷は微動だにせず、波音も全く聞こえません。水平線まで見渡す限り氷と雪で埋め尽くされた景色は圧巻の一言です。
浜小清水まではずっとこんな景色を横目に楽しく運転しました。ところどころに展望台や浜に出れる駐車場が点在していて寄り道もはかどります。
脳がッ!!!震えるぅぅぅぅぅぅ↑↑↑↑
これ、歩いてシベリア渡れるのでは?と思えるほどみっしりと流氷が打ち寄せています。
もはやどこから陸でどこから海なのかわからないくらいびっしり氷が詰まっています。
流氷の上に雪が積もり、氷というより雪の塊に見えますがこうして氷が重なったところが淡く透き通った青色をしていて何だか貴重な宝物を見たような気分になります。
ここは先ほどの写真とは別の、国道から少し外れた以久科原生花園という場所で、人が少なく静かにじっくりと冬のオホーツクを楽しめました。駐車場もしっかりと除雪されていてありがたかったです。
流氷をみるおすすめスポットは @ryuhyonavi さんのツイートを参考にさせていただきました。
だいぶ寄り道しながら走りましたが行動開始が早かったこともあり昼前にウトロに到着。
この時期でも比較的簡単に行けるらしい知床のフレペの滝へ向かう前に腹ごしらえをすることに。
ワンパですがまた魚料理。煮付けがうまかった。写真右の小皿に入っている黒いゼリー状のものはサケの腎臓か何かの塩辛だそうで、独特な味がしました。
食後の運動としゃれこむためにまずは知床自然センターへ向かいます。
センターで長靴とスノーシューを借り、センターの裏に広がる森の中へ雪を踏みしめながら歩き、フレペの滝展望台へ
トレースはかなりあり、人もそこそこおり、迷うことはありませんでした。
森を抜けると目の前が開けます。
んん~すてき~~~♥
すてきです。(語彙力の低下)
展望台からウトロ崎灯台とフレペの滝。滝は凍り付いていました。
別アングルから。高いところから見ても水平線?地平線?まで見事に真っ白です。手前の方は流氷が詰まっておらず何だか久しぶりに海を見たような気がします。
プチスノーシューハイクで昇天した後、本日車中泊予定の道の駅うとろ・シリエトクへ戻りました。
ウトロの夜
どうやらウトロでは毎年冬になると知床流氷フェスなるものを開催しているという情報を仕入れたため、せっかくなので行ってみることに。一人だけど!
会場のある高台まで歩いて行きます。
会場はこんな感じ。会場全体がライトアップされており、良い感じです。
さっそく氷のドームに入ってみます。中はバーになっているとのことですが…
すすすすすすげえ!!!!!
ドームは複雑に入り組んでいて全体像は写真では写しきれませんでしたが、氷の床と壁、それに頭上にびっしりと生える無数の氷柱は見ものです。
氷のドームで大はしゃぎしたあとは、ウトロの港を一望できるスポットへ。
最後に知床自然センターの方のトークショーを楽しんでから帰ることにし、時間まで焚火の前でホットワインをちびちび飲みながら待つことに。
この知床流氷フェスなんかは複数人で行ってこそ楽しめるようなイベントであることは間違いないのですが、しかしソロで行った僕が大満喫できてしまったということは、(それだけ知床流氷フェスが素晴らしいイベントであったことはもちろんでしょうが)僕が一人旅の極致に達しつつあることの証左ではないかと感じました。
つまり、親子連れや夫婦やカップルが大半を占めるような場所でも周りの目を気にせず楽しめるようになってきているということ。
これはきっと幸せなことだ、と僕は思います。
今回も最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
良いお年を。
*1:station bivouac、いわゆる駅寝