新海誠の作品について語ろうと思う【君の名は。】ほか
※この記事は本ブログの趣旨とは完全に乖離しています。でもストレスが溜まっているので好きなことをダラダラと語りたかったのです。マジで輪にかけて駄文です。どうかお許しください。
あの日のことは今でも覚えている。
2015年12月11日、大学受験を控えた僕の目の前に希望の光が差し込んだのです。
そう、新海誠の新作発表です。この日が、かの大ヒット劇場アニメ「君の名は。」が発表された記念すべき日なのです。
慌てて公式サイトや特報を隅々まで閲覧した後、彼の個人のサイトを確認しいき、とある一文に目が留まったとき、ぼかぁ、こう思ったね、
追記。最後に、この個人サイトを見てくださるような、昔からの(ディープな)ファンの方々へ。『君の名は。』には、僕の過去作のモチーフもたっぷりと盛りこまれています。もちろん新しい要素も多くありますが、過去作を熱心に観てくださっていた方ほど、連続性や語り直し、アップデートに気づいていただけるはずです。子供から大人まで多くの観客に楽しんでいただける映画を目指していますが、この映画を最も楽しむことができるのは、やはり皆さんです。今作でもぜひ、映画館に足を運んでいただけると嬉しいです。
100回は見に行きます!!!!
まあ3回しか見に行かなかったんだけどね。
でも、ほんとに楽しみだったんですよ、当時から新海誠作品の大ファンだったから。
ともあれ絶対に現役合格して心ゆくまでこの「君の名は。」を観賞しようと決意し、大学に合格したのですが、その大学の入学式の前日、とんでもなくうれしいニュースが飛び込んできました。
RAD?????????????!!!!???????!????!!!!
僕の一番好きだったバンドです。当時少しずつメディアへの露出が増えてきてはいましたが、まさか劇場アニメの音楽を担当するとは考えてもいませんでした。
だからぼかぁ、大興奮してこう思ったね、
1000回見に行きます!!!!
まあ、3回しか(以下略)
でも、新海誠の作品は好きな人は好きだけど一般の人で知っている人はほとんどいないし、そもそも彼の映画を見れる映画館が僕の地元だとひとつしかなかったし、彼の作風からしてあんな感じ*1だし、なんていうか作品全体に圧倒的に笑いの要素が皆無だし、大ヒットはしないだろうな~と考えていました。
いや、正直なところ、ヒットしないだろうなとすら考えなかった。だって新海作品は僕のなかではヒットするしないの軸から外れたところにあったのだから。
だからこそ新海作品始まって以来どころか、あのジブリをも越えんばかりの勢いで空前の大ヒットをかましたのはびっくりしたし、それは自分が応援してきた人が大成功を収めたということだからこんなに嬉しいことはないのだけれど、でもほんの少し「仲の良かったパッとしない友達が突然クラスの人気者になった」みたいな寂しさがあります。
さて、僕の「君の名は。」に対する感想ですが、
最高かよ???????
です。
なんだか僕の友人は「大ヒットするほど面白くなくね?」という人が大多数なのですが、え、面白くね?????最高じゃね?????
ミスリードは完璧だったし、三葉はかわいいし、笑い要素もふんだんにあったし、三葉はかわいいし、何度見ても楽しめるような要素が盛りだくさんだし、三葉はかわいいし(中略)何より過去作との繋がりを各所で観ることができて、マジで随所でじーんときた。ファンサービスがすごい。こんなんされたらもうアンタに一生ついていきたくなっちゃうじゃん!!!(一生応援します!!!!!!!)
作品の印象が全然違うから無理にとは言えないけど、でも君の名は。が好きな人は過去作も全部見てみると、また違った楽しみ方ができるんじゃないかな、と思う。
逆に君の名は。が新海誠らしくないと言って批判する古参のファンも多いと耳にしますが、俺は新海誠の作品の根底にあるテーマは一貫していると思うけどな。その辺の感じ方は人によって違うだろうから何とも言えないけど、でも好きなアーティストが作る各品がすべて好きじゃなきゃいけない道理はないと思う。かくいう僕も「星を追う子ども」はあんまり好きじゃない。でもコミック版は結構面白かった
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よく新海作品の代表作品として「秒速5センチメートル」があげられ、鬱で切ないバッドエンドな作品だと語られることが多く、それが新海作品らしさであると認識している人は多いのかなと思います。しかし貴樹はラストシーンでほほえみ、彼女が消えたのとは逆方向に歩きだしています。これは見ようによってはポジティブなラストです。
一方君の名は。では瀧と三葉が再会することができ、完璧なハッピーエンドのように見えます。これが新海作品のテーマである「喪失」に付随する切なさと相反するため新海作品らしくないという意見が出る一因になっているのではないかと思います。しかし二人は通じ合いっていた時の記憶は無くしてしまっているわけですから(これについては別の解釈もできるので後述します)瀧と三葉はカタワレドキのシーンのようなかつての関係性を決して取り戻せないのです。だからこれは必ずしも完璧なハッピーエンドではありません。
新海作品はラストだけで語るべきではないんじゃなかなというのが正直なところです。
さて、この君の名は。のラストシーンですが、ひとつ腑に落ちないことがあります。
それは、なぜ二人は階段ですれ違った際に声をかけるのをためらったのか、ということです。
普通に考えれば、二人は「会ったことがないから」声をかけるのをためらったのでしょう。
瀧はカタワレドキの直後にもう三葉の名前も、誰かも忘れ、就活中のシーンのモノローグではなぜ糸守に行ったのかすら憶えていないと述べていますからその説明は筋が通っています。自分はずっとこの人を探していたのではないかという気がしたのに、会ったことは無いから声をかけるのをためらった、ということでしょうか。
ところが対照的に三葉に関しては、彼女が瀧のことを忘れていると示す確実なセリフや描写はありません(たぶん)。
カタワレドキのあとは「名前が思い出せない」という趣旨のことは言っていますし、名前は忘れてしまっていることは間違いないでしょう。しかし、彼女はカタワレドキのシーンで手のひらに例のセリフを書かれているわけですから、再会したこのリクルートスーツの青年は名前は忘れてしまったけれどかつて自分と通じ合っていて、自分を助けてくれた人なのだということを憶えているんじゃないかとふと思いました。
瀧はモノローグなどから間違いなく三葉の存在すら忘れてしまっていることが伺えますが、対する三葉はそう断言できる描写はないのです(たぶんね)。偶然にしてはあまりに対照的です。
ではその三葉がなぜ声をかけるのをためらったかといえば、一度彼女は瀧に認識してもらえなかったことがあるからだと説明できます。組紐を渡すシーンです。その時彼女はショックからか髪の毛をバッサリいっちゃうほどショックを受けていますし、また認識してもらえないのではないかという恐れから声をかけられなかったのではないでしょうか。
(このへん、オーディオコメンタリーとかで監督がしゃべってそうだし確認してから記事を公開したいけどまあいっか…)
と、なんか長々と書いていますがこれは僕の希望的観測です。バイアスがかかっています。そうだったらいいなと思ったことに理論武装させているだけです。
4/10追記:小説版では三葉はきちんと?瀧のことを忘れているようでした。
どんな作品にも正しい解釈などあってほしくありません。僕がそうしたようにこうやって色々と想像し解釈するのも作品の楽しみ方の一つだと思います。
何はともあれ、新海誠の最新作、「天気の子」が発表されましたね。
予告編が楽しみです。新海作品の予告編は一時期「本編より面白い」とすら言われていたらしいほど完成度が高いです。良く聴くと本編と予告編のセリフがちょっと違うとこあるのも驚き。予告編の面白さに関してはジブリのそれを凌駕しています。(ていうかジブリの予告編ぶっちゃけ全然わくわくしなくね???)
たぶん近日中には最初の公開されると思うのでそれを楽しみに色々頑張っていきたいな、と思います。
※記事中の君の名は。の解釈について、調べた限りではおりませんでしたが、既にどなたかが同様の解釈をしているかもしれません。その場合はパクリではなく単なる解釈の一致であると捉えていただけると幸いです。好きなことに関しては嘘はつきません。もし似たような解釈をしておられる方がいましたら、あるいはまったく違う解釈をした方でもぜひお声がけくださればと思います。心行くまで新海作品について語り合いましょう!
テントシューズ(象足)を自作してみた
テントシューズが欲しい
冬山でも寝ている間、足の先が冷たくなったことが無い僕にとっては必要不可欠な装備ではないけれど、テント内に入った後諸々の用事で外に出るとき圧倒的に便利だもの。
でも、一応外も出歩けるようなモデルは僕にとっては少し高いのです。
防水透湿素材を使用した長めのモデルはざっと見た限りどれも税込で10000円強です。話は逸れますがモンベルが一番高い値段設定しているのが意外でした。
必須ではないけれどあるとめちゃくちゃ便利なアイテム、それに10000円かけるのは抵抗があります。
別に足の寒さが気になるわけではないので保温材は踝くらいまで、特に底部分に重点的に充填されていれば十分だし…
と色々迷っているうちに思いつきました。
山道具が高いのなら自作すればいいじゃない?
というわけで自作しました。
目次
制作過程
まずは材料集めです。
必要なものは安いルームシューズと防水素材。
防水素材は使わなくなったけど何となくとっておいたゴアテックスのレインパンツを流用することにします。
問題はルームシューズです。重量と嵩を抑えるためダウンのものにしたかったのですがダウンのものはAmazonの怪しいダウンシューズでも2000円以上します。
テント外での雪かきなどの作業で少し長い時間雪上にいても問題がない程度の断熱性が欲しいためおそらくペラッペラだろうこうしたものはあまり使いたくありません。
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なので近所の靴屋やホームセンターや雑貨屋をハシゴし、ついに見つけました。
Amazonでは1000円強ですが購入した店ではなんと700円!!化繊のインサレーションです。
靴底は中がボアになっており厚いですがスリッパのように固くなっていないので非常にコンパクトにまとめられます。
これで材料は揃いました!
ルームシューズは完成品なので自作するのはそれを包む防水のシューズカバーとなります。
使用するレインパンツはカモシカスポーツオリジナルの商品です。アイゼンワークの練習中に引き裂いてしまい、しばらく修理して使用していたのですが撥水がスプレーをかけても回復しなくなってきたので使わなくなったものになります。
ちなみにジャケットの方はまだ現役です。
ゴアのパンツをハサミでぶった切る罪悪感がやばい。
クセになりそう・・・///
あとはルームシューズが入るように形を調整しつつ仮留めし、針と糸で継ぎ目を縫っていきます。ミシンを持っていないので手で縫いました。縫い目がクッソ雑ですがこれでもめちゃくちゃ頑張ったんです。
良い位置にカモシカスポーツのロゴが残ったのでなんかカモシカさんの純正品ぽさがある。
これで完成でもよいのですがなにせ縫い目が荒いため水より先に雪が侵入してきそうなので継ぎ目を裏から目止めします。
片足はみんな大好きダクトテープで目止めしたのですがちょっとゴワゴワしてしまいました。
なのでもう片足は奮発してゴアのシームテープを圧着することにしました。ずいぶんレインに空いた穴を補修した時に買って余っていたテープです。アイロンで圧着するモンベルのやつ。
最後に滑り止めとして目止め用の接着剤を底部に塗布し完成です。
使用感
実際に伊吹山(1泊2日、気温-5℃程度)で使用してきました。
気温が高かったのであまり参考にならないですがテント外を軽く歩く程度であれば足が冷たくなることはもちろん、雪の侵入もありませんでした。カバー底の滑り止めも良く効いています。
縫い目少し雪が付くのと、ルームシューズ側の滑り止めがしょぼいのとカバーが若干ルーズなのでそこそこズレましたが十分実用可能な範囲内です。
ともあれシューズとカバーがズレるのは少し歩きにくいので改良は必要ですね。
ミシンが無いので作るのは結構だるかったですが予想よりいいものが出来たので今後もこれを使っていけたらなと思います。
最後まで見てくださった方、ありがとうございました!!
モンベルのリゾッタシリーズを全種類食べ比べてみた!【RISOTTa】
臨時収入がありました。
臨時収入とはいえ3000円です。もう一桁多かったら登山用品店へ行ってすぐに全額溶かしていたところですが3000円は半端です。一度は貯蓄すればいいやと思っていたのですが、そういえば週末にソロで行く山行の食事を考えていなかったなと思い当たりました。
正直リフィルのインスタントラーメンとか棒ラーメンでもよかったのですが、お金にわずかながら余裕があるので前から食べてみたかったモンベルのリゾッタを買うことにしました。
しかし、6種類あるモンベルのリゾッタ、正直どれが美味しいのか、そもそもリゾッタって旨いのかもわかりません。
カレーリゾッタとか五目リゾッタとかは外れなさそうだけどガパオリゾッタとかいうよくわからないのが実はめっちゃ旨いのかもしれない…とめちゃくちゃ迷った末、思いつきました。
ぜんぶかえばいいじゃん????(IQ3)
一つ税抜き390円だし、3000円なら予算範囲内だね!!
というわけで買ってきました全種類!!!!
モンベルのリゾッタはよくある尾西とかのアルファ米シリーズとは違い、ご飯をフリーズドライにしたものらしいです。そのおかげでアルファ米がお湯を注いでから15分で完成するのに対し、リゾッタはお湯だとたった3分で完成するようです。
これは早い…
ただ、スプーンはついていないようです。
では、食べ比べていきましょう。
★注意:僕の食べた感想でしかないのであくまで参考までにどうぞ。ちなみに僕はバカ舌です。
目次
そもそもリゾッタって美味しいの?
結論から言うと、普通です。まずくもないしかといってめっちゃ旨いわけでもない。北陸ネタで表現すると8番らーめんみたいな旨くも不味くもない感じ。
全然まずくないし普通にちゃんとご飯食べてる感もあるけど、アルファ米がちゃんとホカホカのふんわりなご飯になってるのに対してリゾッタは少しベタっとしていてまさにリゾットみたいな感じ。
ちなみにべちゃっと感を無くそうと注ぐお湯を少なめにしたり待ち時間を短くするとお米の固さにムラが出てしまいました。
食べ比べ結果
同じリゾッタですがやはり味付けによって旨さは変わりました。ほんと、この辺はその人の好み次第、といった感じですけどね。
味の評価はバカ舌なりに頑張って味わった結果なので雑ですが許してください。
では、それぞれの感想をどうぞ!
ガパオリゾッタ
一番味が想像できないガパオリゾッタ、モンベルのダイニングカフェのハーベテラスというところが監修しているそうです。
ふんわりとスパイスが効いていて、カレーみたいにピリッとした感じじゃなくてファミマのスパイシーチキンみたいな感じ。(伝われ)
味の方は何を食べてるのかよくわからなかったので何とも言えないです…。オリジナルのガパオライス、食べたことないしね。
ちなみに他のリゾッタは330kcal~340kcalくらいあるのにこいつだけ314kcal。
梅しそリゾッタ
なぜか水を少なめにして炊いてもご飯がべちゃっとしてしまうおばあちゃんちの炊飯器で炊いたご飯、それにふりかけのゆかりをかけて食べた小学校の頃の記憶がよみがえり、僕は1人真冬の山毛欅尾山の山頂で思わず泣きそうになった。
(爽やかさっぱりな味わいだけど味はちゃんとしてて、普通に美味しかったです)
カレーリゾッタ
個人的にぱっと見一番おいしそうなカレーリゾッタです。だってカレー味って外れようがないじゃないですか?
しかし、期待が大きすぎたのかこのカレーリゾッタは普通でした。
カレーの存在感が薄いというかカレー感が薄いというか…
ちょうど小中学校の頃、学校給食で出てきた圧倒的にキムチ感が薄いキムチチャーハンみたいな半端な味でした。
五目リゾッタ
これは普通に美味しかったです。お湯が少なかったのか混ぜ方が甘かったのか少しお米が固いところがありましたが、これがお焦げみたいでむしろ良かったです。
五目リゾッタを食べたことのある友人に聞いても、普通に旨かった、とのことなので選んで失敗することは無いと思います。
尾西の五目ごはんと比べると尾西の方が美味しいですが、あれと比べるのは酷です。尾西の五目ごはん、ヤバいくらい旨いもん。
コーンリゾッタ
優しい味でした。甘みがあって普通に美味しいと思います。
味の印象はコーンにステータスを全振りしたピラフ。
ガーリックリゾッタ
チャーハン!!!!
※ただしベチャベチャである
・・・・・・・・・
以上、リゾッタ全種類比較でした。
個人的には五目リゾッタと梅しそリゾッタが好きでした!他のも別に僕の好みではないだけで全然不味くないです。
アルファ米との比較
〇リゾッタのメリット・・・お湯で3分、水で5分で完成するし、何ならそのまま食える
△リゾッタのデメリット・・・アルファ米より高価・量(カロリー)が少ない・すごく美味しいわけではない
●アルファ米のメリット・・・リゾッタより安価・量(カロリー)が多い・種類が多い・一部商品は依存性を感じるほど美味しい・お米がふっくらしている
▲アルファ米のデメリット・・・できるまで時間がかかる
実は尾西のアルファ米シリーズの方がカロリー量や完成重量は高いです。(僕の激推し五目ごはんは377kcal)
個人的にはアルファ米のデメリットである完成までにお湯でも15分かかる、という点はほとんどの状況でデメリットとは言えないと思います。
夕食ならアルファ米だけだと足りないので待つ15分でおかずだのつまみだのを作ればそれほど長くはないですし、朝急いでいる時でも待っている間にパッキングなりしていれば良いわけですし。昼食であれば時間短縮にはなりそうですが僕は登山中基本的に昼食は食べないのであまり関係がないです。
アルファ米ではなくリゾッタが輝く場面は昼食時と、強いてひねり出すならよほど寒い環境(冬のテント外とか)くらいしか思いつかないです。
あとは休憩中に山専ボトルのお湯を注いで行動食みたいな手軽さで食べれる、とかですかね。
以上の結果から、たぶん僕は尾西のごはんとリゾッタが並んでたら僕は迷うことなく尾西のごはんを選びます。
モンベルのアルファ米vs尾西のアルファ米
尾西の白飯は税抜き280円でモンベルの白ご飯は税抜き281円で完成重量、熱量は同じなので尾西のごはんの方がわずかに安いです。
ただ、モンベルは内容量100gのものの他に200gのものもラインナップしており、これは税抜き453円で少しお得になっています。
というわけで今回はここまで!
最後まで読んでくださりありがとうございます。
「競技登山」という奇妙な世界へようこそ
登山というスポーツは本質的に人と競うような性質は持っていません。
確かにある未踏峰の頂に誰が一番最初に立つかだとか、あるいはあるコースを誰が一番最初にゴールするかだとか、そういった競争の要素を見出そうと思えばいくらでも見出すことができるでしょうが、しかし登山には「競技」が持っているべき共通のルールは存在しません。
登山に競争の楽しさを見出している方を否定する意図はありませんが、本質的な部分で登山は競うスポーツではなく楽しむスポーツだと思います。
さて、しかしながらやはり人は競うことが好きな生き物です。そのほうがやっていて面白いことも多いですし、何より生き物が競う様子は見ていて面白いのです。
登山に関しても例外ではなく、現在登山の要素を切り取った競技がいくつも存在しています。あまり詳しくはないですがトレランの大会とか、ボルダリングの大会とかがありますね。
実は、登山の要素をすべて詰め込んだ競技も存在しているのです。
それが今回紹介する「競技登山」です。
ここでは僕が実際に出場したことのある高体連主催の競技登山のルールについて説明していきます。
なお、僕は全国大会へは出場したことがないので主に自分の県の県大会のルール説明と思い出話がメインになります。
数年前の知識ですので少し記憶違いしてる部分もあるかと思いますがご了承ください。
目次
チームや勝敗
競技登山は男女別で1チーム4人パーティーで行います。
県大会に関しては各校何チームでも出場可能です。各校それぞれ出せるだけチームを編成しますが、順位がつくのはチームごとではなく高校ごとであり、高校内で潰しあいが発生しないようになっています。
しかし順位はあくまで「Aチームの獲得点の高さ」で決まるので、例えばBチームがAチームより高得点を獲得したとしてもその高校の順位はAチームの獲得点から決まります。ゆえに各校のAチームは通常その高校の最高戦力で編成されます。
競技内容
さて、具体的な競技の内容になります。
競技登山は減点制を採用しており、 ざっくりいうと各チーム最初に100点の持ち点があり、ミスがあるたびに採点項目ごとに減点され、最終的な持ち点が多い順に順位がつきます。
具体的な採点項目については、体力、歩行、読図、気象、知識、記録、計画、設営、炊事、装備、マナーとなります。
大会の日程は通常2泊3日、1日目に計画書を提出、気象と知識のテスト実施、設営と炊事の審査を行い、2日目に指定されたコース(登山道)を歩くなかで体力、歩行、読図、記録、装備の審査を行い、3日目に順位発表と交流会を行うという流れです。
審査項目
体力
2日目の登山中の審査項目で、持ち点として一番多くなっています。減点制なので「早くゴールすればするほど高得点」というわけではなく、「規定時間内にゴールすれば減点なし、規定時間を〇分過ぎるごとに✕点減点」となります。そもそもスタート時に大渋滞ができるのを阻止するためにコースによってはスタート時間をチームごとずらしますし、規定時間も普通の高校生の体力であれば余裕をもってゴールできるよう設定されているので競技登山ではタイムレース的な要素は皆無といえるでしょう。しかし、血気盛んな高校生はゴールした後予備食の棒ラーメンを啜ったり水遊びをして後続に圧倒的余裕を見せつけたくて何が何でもトップでゴールしようとするので無意味なデッドヒートが発生することがあります。
登山の前提である安全に配慮した結果ですのでこのあり方に不満は一切ありませんが、競争らしい要素が排除されたことにより競技登山は「高校総体の競技の中で最も観戦していてつまらない競技」だと思っています。ちなみに、審査員にめっちゃ監視されるので競技者側もふつうに楽しくない。
体力点の補足
また、年により変わりますが、体力点として「ゴール時の規定重量」が追加されることがあります。これはゴール時点でのパーティーのザックの合計重量が規定の重量に達していないと減点、というものです。
また、これも年によりますがコース上に「特区」が設けられることもあります。これはこの特区を規定時間内に通過しないと減点、というもので、コース上の急登区間を△分以内で登らなければ超過した時間だけ減点になります。かなりきつい時間設定なことが多く、特区が設定されている年はここが勝負の分かれ目になることが多いです。
歩行
2日目の登山中、主に歩行技術を見られます。コース上に待ち構える審査員が歩行バランス、パッキング状態、服装、隊列の間隔など全体的な歩行技術を審査します。
この審査員ですが、基本的にかなり接近しないと見えないように隠れていることが多いです。まじで厄介。
しかし一方でクソほどスリップして全員のケツが泥まみれになっていたとしても審査員が見てさえいなければ減点されません。
審査員は県大会の場合は各校の山岳部の顧問です。普通に自校の顧問が審査することもあればライバル校の顧問に審査されることもあります。
この項目はまじで魔境。
読図
2日目の登山中、コース上にはいくつもの目印が設置されており、あらかじめ配布されている地図にその目印があった場所を記入し、ゴール時に審査員に提出するというもの。もちろんGPSの類は使用禁止なので紙の地図とコンパスを使って読図をして現在地を特定しなければなりません。
僕が高校時代大会で読図担当をした2年次と3年次(3年次は読図補佐でしたが)の2回とも読図でひとつもミスをしなかったのは密かな誇りだったりします。(ほかの審査項目でミスをしまくったのは内緒)
気象
1日目、1チーム4人の中から1人だけ気象の机上テストを行います。内容は気象の基本的な知識テストと天気図の作成及び簡単な天気予報。
気象担当は死ぬほど天気図を書いて練習します。しかし満点をとるのはなかなか難しい。
僕は気象担当だった時に完璧な天気図を書いて満点を取ってやろうと意気込み、滑らかで美しい等圧線を書こうとするあまり基準等圧線まで書き直してしまい、減点を食らいました。
知識
これも1日目、気象と同じく4人の中から1人だけ机上テストを行います。内容は大会実施山域の知識と基本的な登山に関する知識テスト。
この気象と知識という2つの机上テストが行われる関係上、全国大会の常連校は大体偏差値が高いです。
4人1パーティ―なので読図、気象、知識、そして後述の記録はそれぞれ一人づつ受け持つことが多く、そのうち気象と知識は2日目の登山中特にやることがないので歩行ニートと呼ばれます。
記録
記録担当は2日目の登山中一番辛い思いをします。
記録は特定の場所の通過時間や植生、天気、その他情報が記録用紙に記載されているかを審査されます。この特定の場所や、どの情報が審査対象となるかは事前に知らされていませんので、ガチで勝ちに行くなら考えうる限りすべての特徴あるポイントで考えうる限りすべての情報を記載する必要があります。1日の行動で5,60箇所の記録を記入することもあります。
ゆえに登山中の作業量は記録担当がずば抜けて多く、休憩中だけでは時間が足りないので歩きながら延々と記録用紙に色々と書かなければならず、非常に体力的にも疲弊するのですが、ルート上に潜む審査員に文字書きながら歩いているところを見られたら減点されかねないので精神的にも疲弊します。
なのでパーティーの先頭は常に目を光らせ、審査員の気配を感じたらすぐさま合図をします。「審査員だ!」とか叫ぶのはさすがにアレなので合言葉を設定します。合言葉は男子の場合はだいたい下ネタです。
計画
計画は計画書を見られます。計画書は1日目に審査員に提出します。内容のどこを見られるかは事前にわかりませんが、かなり多くの項目がチェック対象になります。手書きの概念図や高低図なども必須です。
大会前にみんなで集まり計画書を読み合わせし、ミスがないか、不足がないかを確認しました。
3日目の各校の交流の際に計画書を交換するので交換用の(部員の個人情報部分を消してある)計画書を用意するのですが、これは提出するものではないので原型を留めないくらい全力でふざけて作ります。
設営
1日目、規定時間内に正しくテントの設営ができたかを審査されます。規定時間は10分で、その時間でまっさらな状態から完璧に設営し、荷物もきれいに中に入れている必要があるので4人であらかじめ練習し手際よくできるようにしておかなければなりません。設営完了後、審査員がテントの張り方、中の荷物の状態などを確認します。
県大会では規定時間が過ぎた時点で各チームの指定エリア内にテントやペグが収まっていれば減点にはなりませんでしたが全国大会になると指定のエリアの外に設営中のポールがはみ出したりチームの誰かが出たりしただけで減点対象となるそうです。
自分のチームの設営指定地が木の根だらけの場所だと絶望します。
炊事
1日目、最後の審査がこれです。炊事開始から完成までの間が審査されます。審査員はあらかじめ提出した計画書の食糧計画を見ながら、メニューの内容(カロリーや栄養は考慮されているか)や食材の不足がないか、衛生的か、火器などの取り扱い、ゴミを極力出さない工夫をしているかなどをチェックします。
ちなみに審査項目に「味」は含まれないので(審査員は試食をしない)どんなにゲロマズの飯を錬成しても減点にはなりません。
装備
2日目の登山後に必要な装備を持っているか審査されます。例えばマッチとライターを所持しているかだとか、修理具を所有していて、なおかつ十分な数があるかだとか、防水や絶縁がきちんとされているかだとかそういったところをチェックされます。
また、非常食のカロリー量なども確認されるときがあります。カロリーメイトひと箱程度では不足とみなされます。
ヘッテンの絶縁処理とかツェルトの有無とかは毎年見られました。結構大事ですからね。
マナー
よほどのことがなければ減点にはならなかったのであまり覚えていない項目です。他の高校の妨害をしたり一般的な常識を破ったりしなければ減点にはならないと思います。
競技登山で勝つためにしていたこと
県大会のある6月まで強豪校の山岳部は何度も「下見」を行います。最初の下見は1年生が入る前、大会の前年の秋口に行ったりします。春も2,3回ほど下見を行い、ルートを確認し、どのあたりが読図の目印が行われるかを確認したり、本番を意識した記録を作成したりします。
また、県大会では3年生中心の最高戦力で挑み、優勝して出場権を得た全国大会へは1年や2年を中心とした若手を中心にしたメンバーが出場し、来年もまた県大会で優勝するために経験を積む、というスタイルが多いようです。
登山を競技化することに対する疑問と意義
競技登山は特に全国大会などでは出場者曰く「常に監視されている」ため非常に楽しくないらしいです。県大会はそこまででもありませんでしたがやはり大会ではない登山の方がずっと楽しかったですし、色々と嫌な思いをしたことがありました。
高校の時大会がらみで、自分の未熟さゆえに先輩や同期、特に後輩には本当に迷惑をかけ、嫌な思いをさせてしまったことは今でも時折思い出します。
僕のせいでもありますが、競技登山がなければ今は山をやめてしまった人のうち何人かは現在でも楽しく山を登っていたのではないか…とそんなことを思ってしまうことがあります。
今でも私は最初に述べた通り、登山は誰かと競うものではないと思っています。強いていうなら自分との戦いです。他人と戦う必要性はありません。それは登山競技の運営方や顧問の先生方も十分承知している点だと思います。
では、競技登山が存在している理由、意義とはいったい何なのでしょうか。
それはおそらく今後、進学したり社会に出た後で登山を続けていくかもしれない高校生に基本的な登山の総合力を身につけてもらうことにあるのではないかと思います。
登山というのは体力、技術、知識、装備、安全意識、判断力など様々な要素が必要であり、どれか1つの要素だけ極めたプロフェッショナルではなくすべての要素を持つゼネラリスト?であることが求められるスポーツだと思います。
そうした総合力、これを多くの若者に身につけてもらうためには競技という形にするのが一番手っ取り早いのでしょう。
登山競技の意義は、多くの仲間と競い合う中で自立した登山者としてのスキルを向上させるところにあります。自立した登山者とは、例えば以下のような要件を備えた人のことをいいます。
○ 自分で山行計画を立てられる。
○ 自分で(体力的・時間的に余裕をもって)登って下りてくることができる。
○ 自分で地図を読み、現在地を把握したり先を見通したりできる。
○ 自分である程度天気を予測し、行動に反映させることができる。
○ 自分で野外生活ができる。
○ 山行を通して得た経験を、次の山行に活かすことができる。
こうしたスキルを磨く機会として登山競技はあります。もちろん競技である以上、優劣の差をつけなければなりません(そのため通常の登山の感覚からは理解しづらい審査項目があるかも知れません)。
しかしこの県大会の趣旨は本来そこにはなく、自らの登山スキルを高めようとする努力の過程にこそあるのです。
今回の大会を通して得たことを、これからの「自分の」山行に活かしてほしいと思います。
引用元
記事を書いていると何だか昔のことを思い出してしまってなんだか真面目な話になってしまいました…笑
それでは今回はここまで、長かったですが最後まで読んでくださりありがとうございます。
インターハイの時期になるとインターハイの公式?サイトで登山競技の様子を写したライブカメラが閲覧できるのでぜひ見てみてください。観戦が最もつまらない競技だと言った意味がよくわかっていただけると思います。
冬の笈ヶ岳は遥か遠く
先日、厳冬期の笈ヶ岳(おいずるがたけ)に行ってきましたって書きたかった。
残念ながら登頂できなかったので今回は山行記録というより日記みたいな感じになります。
目次
コースなど
今回の登山は1月12日から13日にかけての1泊2日テント泊、ソロです。
ま~~~~たお前は一人かよ!!友達いないだろ、とお思いの方、それは間違いです。います。誘ったけど断られただけで。ほんとだよ?
冗談はさておき、今まで冬山の泊付き山行は部活の仲間と行っていたのですが、静かな冬の山を一人で満喫してみたかったのとトレーニングを兼ねてソロで行こうと思い立ったわけです。
そもそも初の雪山泊付き単独行の行き先に割とマイナーな笈ヶ岳を選択したのはなかなかアレですけどね。
笈ヶ岳は石川、富山、岐阜の3県の県境に跨る、日本2百名山?らしいです。ちゃんとした登山道がないので夏に行くと延々藪漕ぎをしなければならず、テントを張る場所もなく、道のりがめちゃくちゃ長いえぐい山です。だからといって真冬に行くと豪雪地帯ゆえにラッセル地獄になるという。
ルートは白山一里野温泉スキー場脇にある中宮発電所から山毛欅尾山に登り、冬瓜平を経て笈ヶ岳へ至り、来た道を戻る、という予定でした。実際の最終到達地点は冬瓜平周辺になります。
冬は足が無いので一里野温泉スキー場行きのバスに乗って行ける中宮発電所からの尾根伝いに登るルートを選択しました。幕営は山毛欅尾(ぶなお)山から冬瓜平の間の尾根上のどこかの予定でした。
バスは金沢駅から冬期の土日祝日限定で運行し、金沢駅から片道1300円です。スキー場には9:05に到着し、帰りのバスは16:30出発です。
敗退の理由
言い訳の余地なく自分の体力不足です。もっと言うなら見込みがとても甘かったからですかね。細かいことを言えばそのほかいくつか要因があるのですが長くなりそうでめんどくさいから書きません。
発電所~山毛欅尾山
とにかく最初の中宮発電所から尾根への取り付きがえげつなかった。
いきなり平均勾配40°の急登で、しかも微妙な積雪量のためうまく登れず、ここで大幅に体力を消耗し、その後も続く急登と立ちはだかる低木の枝にペースが上がらず、山毛欅尾山山頂付近で前に進む気力も尽き果て、13:00頃幕営を開始しました。
この日、先に2人組のパーティーが入山しており、彼らのトレースが山毛欅尾山の降り始めまでついていました。僕はトレースありでこのペースだったので本当に体力落ちたな…と悔しい気持ち。トレーニング頑張ろ。
この日、山毛欅尾山までしか到達できなかったため、目標の笈ヶ岳には間違いなく到達できないので冬瓜山辺りまでに目標を変更しました。
山毛欅尾山~冬瓜山手前
朝5:00、暗闇のなかヘッテンをつけて出発です。前日の2人組のトレースはすぐになくなり、ここからノートレースとなりましたが下りということもあり、特に問題なく進めました。
最低鞍部まで到達すると、冬瓜方面からやってきたと思われるスキーのシュプールがありました。
多少は圧雪されて歩きやすいかな?と思い、このシュプールを辿って歩くことにしました。
この判断は悪手でした。
バックカントリースキーはやらないのでよくわからなかったのですが、シュプールは稜線の細かいアップダウンを避け、小ピークを巻くように続いています。スキーの浮力では沈まない雪面もワカンではずぶずぶ沈み、割と急な斜面をトラバースしていることもありめちゃくちゃ歩きにくいです。
さらにあちこちに顔を出している低木の枝に突っ込んでいくシュプールと、馬鹿正直にその後を辿る僕。
何度も同じ過ちを繰り返した後でようやくBCスキーヤーと登山者では適したルートが違うのだ、ということに気づきました。
ようやく自分でルートファインディングしながら楽に楽しく歩けるようになった頃には陽も昇り、南には石川の名峰、白山の堂々と聳えているのが眺められるようになっていました。
感想など
色々と自身の課題が見えてきた登山になりました。どんどん成長していきたいと思います。
帰りも帰りで雪が湿って重くなりめちゃくちゃしんどかったですがとても楽しい、思い出に残る登山でした。
ラスト、前日の2人組のトレースを辿って下山してみると、彼らは中宮発電所奥の林道を使ってぐるりと尾根の北側に回り、尾根にとりついていたことがわかりました。これだと距離は長くなりますがえぐい急登は回避し尾根に乗ることができます。ただ、林道の山側の斜面で1箇所雪崩そうなところがあったので注意が必要かなと思います。
冬山の単独行については、辛いし危ないし、何より寂しいのでオススメできません。僕も当分やりたくないです。
今回はここまでです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
レンタカーで冬の北海道を巡った時の話 前編
またしても一人旅である。
別に友人がいないわけではないのです。誘ってもほとんど来てくれないだけで。いかん、雨が降ってきたな。
まあ、確かに日程はやたら長いしかなりお金もかかる予定だったし夏ならまだしも冬の北海道なんて考えるだけ寒いし仕方ないよね。仕方ないよね?
さて、今回の旅は当初何人かで行くつもりだったものが紆余曲折あり1人旅となったのでいつも通りの適当なやり方で行くことにしました。あらかじめ決めて予約しておくのは北海道へ行くための交通手段と金沢に帰るための交通手段、そしてレンタカーのみ。目的は流氷を見ることとジュエリーアイスを見ること。
それではしゅっぱーつ!
目次
金沢から北海道
今回は成田から新千歳に飛行機で行くことにしました。
初日は金沢から新宿行きの昼便のバスに乗り、東京でカプセルホテルに泊まり、適当に飯を食って寝ました。カプセルホテルに泊まるのは初めてでしたが出来損ないのSFみたいな感じがして楽しかったです。
翌日は成田から朝に出る飛行機に乗るため早朝に起き、シャトルバスで成田空港に向かいました。某格安航空機便に乗り込むと中にはぎっしり椅子が並んでいて人がぎゅう詰めになっており、2056年、市民権を剥奪され首都に居場所を失った彼らにもはや選択する権利すら無かった。飛行機の腹に詰めるだけ詰め込まれ、文字通り北へと飛ばされる彼らの目に光はなく口元には諦念すら浮かんでいた…みたいな妄想がとてもよくはかどりました。
座席は窓際で、景色がよく見えました。
離陸直後はちょうど夜明けの頃で、刻一刻と変化する空と雲がとても美しかったです。
新千歳空港に到着するとまずはレンタカー会社に連絡。今回利用したのは北海道レンタカーさん。めちゃくちゃ検索にひっかかりにくそうな名前だなぁ・・・。
ともあれこのレンタカー会社の何がすごいって安すぎて不安になるくらいの料金設定です。24時間で1300㏄クラスが2500円と格安でした。
電話をするとすぐに向かいますとのことだったので指定の場所でドキドキしながら待機しているとそれらしき車がすっと入ってきました。
この車に乗って事務所に向かい手続きするのかな、と思いきや会社の人が乗ってきた車がレンタカーらしい。その場で免許証の写真を撮り、料金を支払い、注意事項を確認して鍵を渡され手続きは完了です。車体の傷の確認などもなく、かといって会社の人の目の前で車の傷の写真とか撮るわけにもいかず、少し不安に思いながらの出発となりました。
新千歳~網走~ウトロ
ひとまず最初の目的である流氷を見るべく網走に向かいます。
網走まで今日中に行けてもかなり遅い時間になりそうだったので宿は予約せず、無理なく行けるとこまで行って手ごろな道の駅で車中泊することにしました。
結局その日は網走まで到達できてしまったので道の駅流氷街道網走で車中泊となりました。もちろん、車中泊中エンジンをかけっぱなしにはしませんのでどれほど冷え込むか気になりましたが幸いこの日の夜はそこまで冷えこまず、快適な夜を過ごせました。
写真はこの日の夕食。ワンパですが寿司です。この時、北海道にいる間は1日1食だけ金を惜しまず好きなものを食べても良いというマイルールを追加しました。
翌日、空が明るくなるころに起き、がりがりに凍り付いた窓の氷を落として出発です。
今日の目的地は知床半島のあたりのつもりだったので時間にはかなり余裕があるので早速寄り道することにしました。
尖っていたり突き出している場所が好きなので網走の北に位置する能取岬へ行ってみることにしました。
素敵な景色が見えてきました!
能取岬に到着です!寒いですが気持ち良いです。
岬の下には流氷がぎゅうぎゅうに打ち寄せており、まるで陸みたいになっていました。
勝手に抱いていた流氷のイメージとは少し違いましたがこれはこれで良いですね。
途中、展望台みたいな施設が見えたので北浜駅に寄りました。駅の横にはホーム外からも登れるようになっている展望台が併設されていました。
釧網本線は特にそうですが、北海道には味のある駅舎がかなり多く残っていて、そういうところも好きです。無人駅でもほとんどの駅にちゃんとした待合室がついているのも良いところです。(STB*1がやりやすいのです)
さてはともあれ、展望台に登ってみます。
す、すげえ・・・
海というより広大な雪原です。流氷は微動だにせず、波音も全く聞こえません。水平線まで見渡す限り氷と雪で埋め尽くされた景色は圧巻の一言です。
浜小清水まではずっとこんな景色を横目に楽しく運転しました。ところどころに展望台や浜に出れる駐車場が点在していて寄り道もはかどります。
脳がッ!!!震えるぅぅぅぅぅぅ↑↑↑↑
これ、歩いてシベリア渡れるのでは?と思えるほどみっしりと流氷が打ち寄せています。
もはやどこから陸でどこから海なのかわからないくらいびっしり氷が詰まっています。
流氷の上に雪が積もり、氷というより雪の塊に見えますがこうして氷が重なったところが淡く透き通った青色をしていて何だか貴重な宝物を見たような気分になります。
ここは先ほどの写真とは別の、国道から少し外れた以久科原生花園という場所で、人が少なく静かにじっくりと冬のオホーツクを楽しめました。駐車場もしっかりと除雪されていてありがたかったです。
流氷をみるおすすめスポットは @ryuhyonavi さんのツイートを参考にさせていただきました。
だいぶ寄り道しながら走りましたが行動開始が早かったこともあり昼前にウトロに到着。
この時期でも比較的簡単に行けるらしい知床のフレペの滝へ向かう前に腹ごしらえをすることに。
ワンパですがまた魚料理。煮付けがうまかった。写真右の小皿に入っている黒いゼリー状のものはサケの腎臓か何かの塩辛だそうで、独特な味がしました。
食後の運動としゃれこむためにまずは知床自然センターへ向かいます。
センターで長靴とスノーシューを借り、センターの裏に広がる森の中へ雪を踏みしめながら歩き、フレペの滝展望台へ
トレースはかなりあり、人もそこそこおり、迷うことはありませんでした。
森を抜けると目の前が開けます。
んん~すてき~~~♥
すてきです。(語彙力の低下)
展望台からウトロ崎灯台とフレペの滝。滝は凍り付いていました。
別アングルから。高いところから見ても水平線?地平線?まで見事に真っ白です。手前の方は流氷が詰まっておらず何だか久しぶりに海を見たような気がします。
プチスノーシューハイクで昇天した後、本日車中泊予定の道の駅うとろ・シリエトクへ戻りました。
ウトロの夜
どうやらウトロでは毎年冬になると知床流氷フェスなるものを開催しているという情報を仕入れたため、せっかくなので行ってみることに。一人だけど!
会場のある高台まで歩いて行きます。
会場はこんな感じ。会場全体がライトアップされており、良い感じです。
さっそく氷のドームに入ってみます。中はバーになっているとのことですが…
すすすすすすげえ!!!!!
ドームは複雑に入り組んでいて全体像は写真では写しきれませんでしたが、氷の床と壁、それに頭上にびっしりと生える無数の氷柱は見ものです。
氷のドームで大はしゃぎしたあとは、ウトロの港を一望できるスポットへ。
最後に知床自然センターの方のトークショーを楽しんでから帰ることにし、時間まで焚火の前でホットワインをちびちび飲みながら待つことに。
この知床流氷フェスなんかは複数人で行ってこそ楽しめるようなイベントであることは間違いないのですが、しかしソロで行った僕が大満喫できてしまったということは、(それだけ知床流氷フェスが素晴らしいイベントであったことはもちろんでしょうが)僕が一人旅の極致に達しつつあることの証左ではないかと感じました。
つまり、親子連れや夫婦やカップルが大半を占めるような場所でも周りの目を気にせず楽しめるようになってきているということ。
これはきっと幸せなことだ、と僕は思います。
今回も最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
良いお年を。
*1:station bivouac、いわゆる駅寝
年末の奥獅子吼山に登ってきた
目次
用事のない日と晴れの日がようやく重なったので2,3週間くらい前に登った奥獅子吼山に登ってきました。
前回と同じところを登るのも芸がないと思い、医王山にしようかと思ったのですが、Yahooの雨雲レーダーアプリによると医王山より奥獅子吼の方が圧倒的に積雪が多いようだったのでこちらにしました。
今回の登山は冬に向けて買い漁った山道具たちのデビュー戦でもあります。
登山口~山頂
登山口であるパーク獅子吼には雪は全く積もっていませんでした。積もっていたらバイクでアクセスできないので助かりました。
日はまだ昇っていませんが出発です。
最初の急登をガンガン登り、見惜峠の手前でようや雪に出会えました。
実に1か月半ぶりの積雪です。
見惜峠にはしっかりと積雪がありました。ここで標高600m弱ですから山頂はそれなりの積雪が期待できそう。
前回はガスガスで眺望ゼロで楽しめなかった景色も今回はバッチリです。
山頂~下山
いよいよ山頂です。
脳汁放出準備~!!!さん!!にー!!!
いち!!!!
あヒィ~
アッアッ ※金沢平野も一望できました。
アッアアッ ※白山(たぶん)が美しいです。
アヌァーン ※低木の間から立山も見えました。
アッアアッ ※何か良さげな写真撮ってみました
人間性を回復するためにコーヒーミルとドリッパーを準備し、お湯を沸かしながらミルをゴリゴリ回します。
コーヒーの粉にお湯注ぐとふわっとなるのめっちゃ好き
さて、挽きたて淹れたてのコーヒーで乾杯といこうではないかね??
山頂があまりに楽しくて小一時間滞在してしまいました。気温は4℃前後で晴れていることもありフリースを羽織ると少し暑いくらいでしたが履いてきた靴が3シーズン用だったので少し足が冷えてきたこともあり、泣く泣く撤収しました。
平日でしたが快晴だったためか帰路、合計10人近くの登山者とすれ違いました。
使った道具など
今回使った道具は
マジックマウンテン ラッセル
モンベル O.D.コンパクトドリッパー2
multifun コーヒーミル
ファイントラック パワーメッシュインナーグローブ
です。
マジックマウンテン ラッセル
ワカンつけなくても良さそうな雪質と積雪量だったのですがつい先日買ったばかりのワカンを装着してみました。
ワカンはマジックマウンテンのラッセルというモデル。
部活でも採用しているワカンで、昨シーズンも使用しかなり良かったので、ソロ登山で使用することを考え自分用に購入してしまいました。
http://www.magic-mountain.jp/item/category/58_pdf/58_p19_magicmountain.pdf
このワカンの良いところはデッキベルトがPUコーティングされているという点です。
とにかく雪がつきにくいのです。
山でよく見るエキスパートオブジャパンのワカンのデッキベルトは普通のナイロンの生地が剥き出しなので油断すると馬鹿でかいダンゴができてしまう(しかも全然取れない)のですがこいつはとにかく雪がつかないので快適です。しかも比較的安い。
マジでオススメ。
モンベル O.D.コンパクトドリッパー2
multifun コーヒーミル
山で挽きたてのコーヒー飲んだらうまいんじゃね?と思って買ったこの二つの商品。
自宅では既に粉になったコーヒーで淹れていたのですが、どうせだしとミルを買い、アウトドアで使えそうなドリッパーを買いました。
ユニフレームとかのコーヒーバネットでもよかったのですがモンベルのドリッパーがめちゃくちゃ小さくなるようなのでこちらを選択。
収納するとめっちゃコンパクト。単体では自立しないので箸とかを底についているループに通して使う感じですね。
コーヒーミルはAmazonで安いやつを買いました。
中に入っているのはこの3点。
黒いネジで粉の粗さを無段階で調整できます。
豆を入れるところ。満杯で入れて2杯分くらいです。
粉を受けるところ。
全体的に金属部分の縁がかなり鋭利なのでできればメスティンのバリ取りの要領でやすりをかけておいた方が安心かもしれないです。
耐久性についてはまだわからないです。
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ファイントラック パワーメッシュインナーグローブ
人から貰ったファイントラックの スキンメッシュTがちょっと良かったので手袋も買ってみました。
せっかくなので、右手はインナーグローブ+中厚手のフリースグローブで左手はフリースグローブのみで登り、効果検証してみることにしました。
気温は6℃~4℃程度で少し汗ばむくらいのペースで登りましたが、左右でかなり違いを感じました。インナーグローブをつけていない左手は汗でべたつく感じがありやや不快でしたが右手は最後まで濡れた感じはほぼなしでした。意識して右手のフリースグローブで汗を拭いてみましたがやはり手はドライでした。
可能ならもっと低温環境でも検証してみたいと思います。
ようやく里まで冬が降りてきた感があります。年末年始の天気予報から目が離せない状況ですので、計画をされている方はどうぞお気を付けて。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました!